「掃除しても刺される」「布団に潜んでいる?」「どうやって殺せばいいの?」。ダニの悩みは、かゆみや皮膚トラブルだけでなく、アレルギーや睡眠にまで広がることがあり、不安になりますよね。市販のスプレーを使ったつもりでも、気づけばまた気になる、という方も少なくないと思います。
この記事では、東京都と環境再生保全機構(ERCA)の公的な資料をもとに、ダニを「殺す」ことと「減らす・取り除く」ことの違いと、家庭でできる対策をまとめます。
先にお伝えすると、特定の温度や方法でダニが確実に死ぬ、と確認できる公的な資料は、この記事を書く時点で見つけられませんでした。ERCAには、ダニ殺虫剤の効果は確認されていないため積極的に使用しなくてよい、という趣旨の記載もあります。公的機関が勧めているのは、干す・洗う・掃除機をかける・換気する・湿度を管理するといった、基本の手入れです。
読み終わるころには、今日からどの順番で手をつければいいのかが決まるはずですよ。
ダニを「殺す」より「減らして取り除く」
家庭に多いダニと、増える条件
東京都健康安全研究センターの「くらしの健康」第47号によると、一般の家庭で多く見られるのは、チリダニ科のコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの2種類です。体長は0.3〜0.6mmほどで、成虫の寿命は2か月ほどとされています。
ダニが育ちやすい環境は、温度25℃前後・湿度75%前後です。エサになるのは、室内のチリやホコリ、人のフケやアカ、食べ物のカス、カビなどです。繁殖しやすい場所は、寝具、カーペット、畳、カーテン、押し入れ、ぬいぐるみなどが挙げられています。
ほかのダニの名前を聞いたとき
ツメダニやイエダニなど、人を刺すと言われるダニの名前を聞くことがあります。ただ、この記事では、これらのダニの特徴や増える時期を、公的な資料で確認できていません。ですので、種類ごとの細かな説明は書かないことにしました。
家の中で刺されたように感じるときは、原因がチリダニとは限らないため、自分で決めつけずに皮膚科で相談してください。見つけた虫が気になるときの見分け方は、ダニは目に見えるのかをまとめた記事も参考にどうぞ。
殺すだけでは足りない理由
東京都の資料では、ダニの死骸や抜け殻、フンもアレルゲンになると説明されています。つまり、ダニを殺しても、死骸やフンが室内に残っていれば、アレルギーの心配は残ります。
そのため、公的な資料では、ダニを退治することよりも、ダニが増えにくい環境をつくり、たまったアレルゲンを取り除くことが勧められています。この記事のタイトルは「殺し方」ですが、中心になるのは、取り除き方と増やさない方法です。
アレルゲンの量には目安がある
同じ資料によると、世界保健機関(WHO)は、室内のホコリ1gあたりのダニのフン由来アレルゲン(Der1)が2μg以上(ダニ約100匹に相当)でダニアレルギーを発症する危険性があり、10μg以上(約500匹に相当)でぜん息発作を誘発する危険性があるとしています。
東京都が一般家庭10軒で調べたところ、9軒でホコリ1gあたり2μg以上が検出され、寝具で最も高い値を示しました。まずは寝具から手入れを始めるのが近道です。

家庭でできる、ダニを減らす方法
干して、掃除機をかける
東京都の資料では、天気の良い日に布団をよく干し、干したあとはたたかずに掃除機をかけるよう勧められています。布団の表と裏に、1週間に1回、1平方メートルあたり20秒以上かけるのが目安です。ERCAは、日光干しは湿度の少ない時間帯に裏表まんべんなく行い、乾燥後は1平方メートルあたり20〜30秒かけて両面に掃除機をかけるよう説明しています。
床の掃除機は、できるだけ毎日。少なくとも3日に1回は、1平方メートルあたり20秒以上かけて、ゆっくり動かします。フローリングよりカーペットや畳のほうがアレルゲンが高かったという調査結果があるので、特にていねいにかけてください。
なお、掃除機のフィルターの種類による違いは、この記事では公的な資料から確認できていません。排気が気になるときは、掃除機の取扱説明書を確認し、掃除のあとに窓を開けて換気してください。
洗って、しっかり乾かす
- シーツや布団カバー、枕カバーは、こまめに取り替えて洗う(東京都)
- 布団カバーは週に1回は洗濯する(ERCA)
- 毛布やタオルケットは、年に2〜3回以上丸洗いする(東京都)
- 布団を干せない家庭では、専門の業者に頼んで布団の丸洗いを、1年に2回ぐらい(東京都)
- ぬいぐるみは、よく洗濯する。できれば置かない(ERCA)
ダニのフンなどのアレルゲンは水で洗い流せる、と東京都の資料にあります。東京都の資料では、布団の丸洗いは、ダニの虫体やフンを丸ごと除去できるため効果的、と紹介されています。
「何度のお湯で、何分洗えばダニが死ぬのか」については、公的な資料で確認できていません。洗濯表示に書かれた水温や洗い方を守って洗ってください。梅雨など干せない時期は、布団乾燥機を使うとよい、とも東京都の資料にあります。
換気と湿度で、増えにくくする
室内の湿度は60%以下を目安にします。梅雨は除湿機を使い、冬でも加湿しすぎないよう、東京都の資料に書かれています。ERCAは、加湿器は使わない、洗濯物の部屋干しはやめる、と説明しています。
布団を敷くときは、就寝の30分以上前に窓を大きく開けて行うのがよいとされています。ERCAは、布団の上げ下ろしのあとの2時間は、部屋を十分に換気するよう説明しています。
寝具や部屋を見直す
- できればすべての寝具を、専用の防ダニシーツで覆う(ERCA)
- 丸洗いできる寝具を選ぶ(ERCA)
- ベッドや布団の高さを、床から30cm以上離す(ERCA)
- カーペットは取り除く。畳の上にカーペットを敷くのは厳禁(ERCA)
- 布製のソファは、革製やビニール製に替える(ERCA)
- 押入れは定期的に空気を入れ替え、スノコを敷く(ERCA)
すべてを一度にやる必要はありません。ご家庭の状況に合わせて、できそうなものから1つずつ試してみてください。
手入れは、一度やって終わりではなく、続けることが大切です。曜日を決めて、洗濯・布団干し・掃除機をまとめて行う家庭もあります。ご家族の予定に合わせて、無理のない曜日と時間を決めてみてください。
ハーブなどの自然な方法は?
ダニが嫌うとされるハーブなどを使う方法は、ダニが嫌いなハーブの記事で紹介しています。ただし、効果の程度は公的な資料で確認できていません。基本の手入れの代わりにはならないため、あくまで補助として考えてください。

薬剤やグッズを使うときの考え方
殺虫剤やくん煙剤、スプレー
ERCAのページ(ぜん息の悪化因子への対策)には、「ダニ殺虫剤の効果は確認されていないため、積極的に使用しなくてよい」という趣旨の記載があります。くん煙剤やスプレーを使う場合は、効果を期待しすぎず、基本の手入れとあわせて使ってください。
- 製品の説明書きと使用上の注意を、使う前に必ず読む
- 赤ちゃんやペットがいるご家庭では、とくに表示を確認する
- 使用中や使用後の換気、避難の必要があるかどうかは、製品の表示に従う
- 使う前に掃除をして、ホコリを減らしておく
ダニ取りシート
ダニ取りシートは、ダニを集めて捕らえるタイプの製品です。ただ、効果を確かめられる公的な資料は、この記事では見つけられていません。使う場合は、説明書きに従って、定期的に交換してください。「ダニがどれくらいいるかを知る道具」として使う方法もありますが、数の見方や増減の判断の基準は、確認できていません。
よくある疑問
Q. 「熱で殺す」と聞いたけれど、本当?
特定の温度や時間でダニが死ぬ、と確認できる公的な資料は、この記事では見つけられませんでした。熱を使う方法は、寝具や素材が傷む可能性もあります。布団乾燥機やスチームを使う場合は、取扱説明書と寝具の洗濯・取扱表示を確認してください。
Q. 殺したあとの死骸は、どうする?
東京都の資料では、死骸やフンもアレルゲンになるとされています。掃除機をていねいにかけ、洗えるものは洗うのが基本です。
Q. 刺されたあとのかゆみが長引くときは?
かゆみや腫れが続くときは、自己判断せず、皮膚科で相談してください。市販薬を使う場合も、薬剤師や医師に相談してから選んでください。野外で吸血中のマダニを見つけたときは、無理に引き抜かず、皮膚科で処置してもらってください。詳しくは刺されたあとのかゆみの記事に書いています。
Q. どの順番で始めればいい?
公的な資料に決まった順番は書かれていませんが、この記事では次の順を一例としてお勧めします。まずシーツ類を洗う。次に、晴れた日に布団を干して掃除機をかける。その次に、床に掃除機をかけて換気する。最後に、湿度計を置いて、除湿機などで湿度を整える。こうして一周すると、東京都・ERCAが勧める基本が一通りそろいます。
Q. 家族にアレルギーがある場合は?
ERCAは、同じ部屋で寝る人の寝具も、同じように対策するよう説明しています。症状がある場合は、寝具の手入れと並行して、小児科・皮膚科・アレルギー科などの医療機関に相談してください。
ここで紹介した頻度や回数は、公的な資料に書かれた目安です。寝具の素材や、お住まいの環境によって、無理のない続け方は変わります。洗濯表示や商品の説明書きを確認して、できる範囲で取り入れてください。
ダニを減らす方法のまとめ
- 特定の温度や方法でダニが死ぬと確認できる公的な資料は、見つけられなかった
- ERCAには、ダニ殺虫剤の効果は確認されていないという趣旨の記載がある
- 死骸やフンもアレルゲンになるため、殺すより「減らして取り除く」ことが大切
- 基本は、干す・洗う・掃除機・換気・湿度60%以下
- 症状が続くときは、医療機関に相談する
まずは、今日、シーツと枕カバーを洗って、寝る前に窓を開けるところから始めてみてください。洗濯でできることはダニと洗濯の記事で詳しく書いています。


