「部屋でダニを見つけた…」「1匹いたら、まだ100匹いるって本当?」と不安になりますよね。この記事では、東京都と環境再生保全機構(ERCA)の公的な資料をもとに、わかっていることと、家でできる対策をまとめました。
先にお伝えすると、「1匹いたら100匹」という言い方の出どころになる資料は、確認できませんでした。ただし、家の中にダニがいること自体は珍しくないこと、数が増えるとアレルギーの心配があることは、公的な資料にも書かれています。
読み終わるころには、「見つけたあと、まず何をするか」が決まるはずですよ。
「1匹いたら100匹」は本当?
100匹という数字の意味
東京都の資料(くらしの健康 第47号)には、世界保健機関(WHO)の目安が紹介されています。室内のホコリ1gあたり、ダニのフン由来アレルゲン(Der1)が2μg以上(ダニ約100匹に相当)でダニアレルギーを発症する危険性があり、10μg以上(約500匹に相当)でぜん息発作を誘発する危険性がある、というものです。
「100匹」という数字は、この目安と同じ桁ですが、「1匹見つけたら100匹」という意味ではありません。あくまでホコリ1gあたりの量の話です。
東京都の調査でわかったこと
同じ資料では、東京都が2016年10月に一般家庭10軒で調べた結果が載っています。9軒でホコリ1gあたり2μg以上、6軒では10μg以上が検出され、フローリングの床よりカーペットや畳が高く、寝具で最も高い値だったそうです。資料には「ダニは室内に必ず住みついています」とも書かれています。
つまり、ダニを1匹見つけたから特別に危険、というより、ダニはもともと家にいるもので、増えすぎないように環境を整えることが大切、と読み取れます。
家に多いダニはどんな虫?
東京都の資料によると、一般の家庭で多いのは、チリダニ科のコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの2種類です。体長は0.3〜0.6mm程度、成虫の寿命は2か月程度とされています。
育ちやすい環境は、温度25℃前後・湿度75%前後。エサになるのは、室内のチリやホコリ、人のフケやアカ、食べ物のカス、カビなどです。ダニが繁殖しやすい場所として、寝具、カーペット、畳、カーテン、押し入れ、ぬいぐるみなどが挙げられています。
体がとても小さいため、見つけた虫がチリダニかどうかは、見た目だけでは判断しにくいかもしれません。刺されたあとが気になるときは、後半の「ダニに刺されたとき」も読んでください。
ダニが気になるのは、秋の時期?
東京都の資料によると、ダニは梅雨から夏にかけて繁殖し、秋に入ると死骸や抜け殻、フンが室内にたくさんたまります。これらがアレルゲンになるため、秋ごろにアレルギー症状が悪化しやすい人がいる、と説明されています。
「いま、ダニを見た」というタイミングが秋なら、梅雨や夏のあいだに増えたダニの影響が残っているのかもしれません。見つけたときが、寝具の洗濯や掃除機がけを見直すちょうどよい機会です。
見つけたその日にやること
公的な資料で勧められている基本を、見つけた日の順番に並べてみます。順番は、この記事での一例です。
- 見つけた場所の近くの寝具やカバーを外して洗う
- 布団は干して、干したあとにたたかず掃除機をかける
- 床にも掃除機をかける。1平方メートルを20秒ほど、ゆっくり動かす
- 窓を開けて、部屋を十分に換気する
虫を1匹ずつ探して退治しようとするより、ダニが増えにくい環境を整えるほうが、資料で勧められている方向に沿っています。
なお、見つけた日に全部をやりきる必要はありません。「今日は寝具のカバーを洗う」「明日は床に掃除機をかける」のように、数日に分けても大丈夫です。続けることのほうが大切なので、無理のない順番で進めてください。
小さなお子さんやアレルギーのある家族がいる場合は、その人がいる部屋と寝具から先に手をつけると、気持ちも落ち着きやすいと思います。
ダニを減らすために家でできること
公的機関が勧めていること
東京都のアレルギー情報navi(室内環境対策)と、環境再生保全機構のぜん息の悪化因子への対策ページには、次のような対策が紹介されています。ERCAはぜん息のある方向けの案内ですが、ダニ対策の参考になります。
- 寝具はよく干し、そのあと掃除機をていねいにかける(干したあとはたたかない)
- できればすべての寝具を、専用の防ダニシーツで覆う(ERCA)
- 丸洗いできる寝具を選ぶ。洗える寝具は週1回洗濯するのもよい(ERCA)
- シーツや布団カバー、枕カバーをこまめに取り替えて洗う(東京都)
- 掃除機は1平方メートルあたり20秒ほど、ゆっくり動かしながらかける(東京都)
- 布団の上げ下ろしのあとの2時間は、部屋を十分に換気する(ERCA)
- 室内の湿度は60%以下を目安にする。梅雨は除湿機を使う(東京都)
- カーペットは取り除く。畳の上にカーペットを敷くのは厳禁(ERCA)
- 加湿器は使わない、洗濯物の部屋干しはやめる(ERCA)
どれも、特別な道具がなくても始められることばかりです。まず今日、布団を干して掃除機をかけ、部屋を換気するところから始めてみてください。
部屋づくりで見直せるポイント
環境再生保全機構のページには、寝具以外にも、ダニが増えにくい部屋づくりのヒントが挙げられています。
- 枕はパイプ枕がよく、カバーも取り替える
- ベッドや布団の高さを、床から30cm以上離す
- マンションの北側の部屋を寝室にしない(湿気がこもりやすいため)
- 押入れは定期的に空気を入れ替え、スノコを敷く
- エアコンは一般的には年2回、使用開始直前に掃除し、その後は毎週掃除する
- 布製のソファは、革製やビニール製に替える
- ぬいぐるみは、よく洗濯する。できれば置かない
- 観葉植物は湿度が上がる原因になるのでベランダに置く、水槽は室内に置かない
すべてを一度にやる必要はありません。ご家庭の状況に合わせて、できそうなものから1つずつ試してみてください。
同室で寝る家族がいる場合は、その人の寝具も同じように対策するのがよい、とも書かれています。ダニは寝具でいちばん多いと東京都の調査でも示されているため、家族みんなの寝具を見直すことが近道です。
すぐには変えられないときは
賃貸の部屋でカーペットを外せない、ソファをすぐには替えられない、といったご家庭もあると思います。その場合は、上のリストの中で「今すぐ変えられること」だけを選べば十分です。たとえば、寝具のカバーを洗う頻度を決める、窓を開ける時間を決める、除湿機を梅雨の時期だけ使う、といった小さな工夫から始められます。
カーペットや布製ソファは、洗える部分があれば洗い、掃除機をていねいにかけるところから始めてください。大きな買い替えは、続けられそうかどうかを見てからで遅くありません。
ダニ駆除剤やダニ捕りシートは効果がある?
環境再生保全機構のページ(同上)には、「ダニ殺虫剤の効果は確認されていないため、積極的に使用しなくてよい」という趣旨の記載があります。ダニ捕りシートについては、この記事では、効果を確かめられる公的な資料を見つけられていません。
使う場合は、効果を期待しすぎず、掃除・洗濯・換気といった基本の対策とあわせて、製品の説明書きや使用上の注意を読んでから使ってください。赤ちゃんやペットがいるご家庭では、とくに表示の確認が大切です。
参考として、楽天市場で取り扱いのある商品の例を載せておきます。
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刺されたとき、マダニに気づいたときの対応
ダニに刺されたと感じたとき
家の中で刺されたように感じるとき、原因がチリダニとは限らないため、自分で決めつけず、かゆみや腫れが続くときは医療機関(皮膚科)で相談してください。
受診するときは、いつから、どこが、どんなふうにかゆいのかをメモしておくと、伝えやすくなります。寝具を洗ったタイミングや、最近行った場所(草むらや山など)も、あわせて書いておくと参考になります。
マダニが吸血していたとき
散歩のあとなどに、体やペットに吸血中のマダニがついているのを見つけたときは、無理に引き抜かないでください。厚生労働省・国立感染症研究所の案内(ダニ媒介感染症|厚生労働省)では、無理に引き抜くとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、体液を逆流させたりするおそれがあるため、医療機関(皮膚科)で除去や洗浄の処置を受けるよう勧めています。刺されたあと数週間は体調の変化に注意し、発熱などの症状が出たら医療機関で診察を受けてください。
よくある疑問
Q. ダニを見つけたら、すぐ業者に頼むべき?
この記事では、業者に頼む目安になる資料は確認できていません。まずは、寝具の洗濯・干して掃除機・換気・湿度の管理といった基本を続けてみて、それでも不安が強いときや、症状が出ているときは、医療機関に相談してください。
Q. 目で見えるダニは、チリダニ?
チリダニは0.3〜0.6mm程度とされ、とても小さな虫です。見た目だけで種類を判断するのは難しいかもしれません。見つけた虫が気になるときは、そのまま掃除機で吸うか、テープで取るなどして、手で潰さないほうが安心です。
Q. 部屋が汚れていないのに、ダニはいる?
東京都の資料では、ダニは室内に必ず住みついているとされています。きれいに見える部屋でも、寝具やカーペットの中にはフケやホコリがたまります。汚れていないからいない、とは言えないようです。
ダニ1匹と100匹のまとめ
- 「1匹いたら100匹」の根拠になる資料は確認できなかった
- ダニは家に必ずいる。ホコリ1gあたり約100匹相当(2μg)は、WHOがアレルギー発症の危険性を示す目安
- 対策の基本は、寝具の乾燥と掃除機、洗濯、湿度の管理、換気
- ダニ殺虫剤の効果は確認されていないとされ、使うなら基本対策とあわせて慎重に
- マダニは引き抜かず、皮膚科で処置してもらう
症状が続くときは、自己判断せず医療機関に相談してください。
ほかにも、洗濯でできることはダニと洗濯の記事、防ダニ寝具の選び方はニトリの防ダニシーツの記事で書いています。












