「アイロンを当てるとダニが死ぬ」と聞いて、本当なのか気になって調べている方も多いんじゃないでしょうか。布団やシーツを前にして、「アイロンでさっと済ませられたらラクなのに」と思う気持ち、とてもよく分かります。
この記事では、東京都と環境再生保全機構(ERCA)の公的な資料を確認して、アイロンでダニ対策ができるのか、そして結局なにをすればいいのかをまとめます。読み終わるころには、今日からやることが決まるはずですよ。
先にお伝えすると、アイロンでダニを駆除できると確認できる公的な資料は、この記事を書く時点で見つけられませんでした。公的機関が勧めているのは、寝具を干す・洗う・掃除機をかけるといった基本の手入れです。
アイロンでダニは駆除できる?
公的な資料には載っていなかったこと
確認した東京都のアレルギー情報navi(室内環境対策)、東京都健康安全研究センターの「くらしの健康」第47号、ERCAの小児ぜん息Q&A(寝具)には、いずれもアイロンでダニを駆除する方法は載っていませんでした。
ここで気をつけたいのは、「載っていない」と「効かない」は同じ意味ではない、という点です。私が確認できたのは、あくまで「この3つの資料には書かれていなかった」ということだけ。アイロンが効くとも、効かないとも、この記事では言い切りません。
「高温で死ぬ」という説とのつきあい方
インターネット上には「ダニは高温で死ぬ」「アイロンで即死する」といった説明もあります。ただ、温度や時間の具体的な数字の根拠は、公的な資料では確認できませんでした。そのため、この記事では、アイロンの温度や当てる時間は紹介しません。
数字つきの説明は、読むと安心できてしまうんですよね。でも、根拠がはっきりしない数字をそのまま信じて布団にアイロンを当てても、生地が傷んだだけで終わるかもしれません。まずは「確かめられていない話なんだな」と、ひと呼吸おくのがおすすめです。
アイロンを使う前に確認したいこと
また、布団やカーペットにアイロンを当てると、生地を傷めたり、やけどをしたりするおそれがあります。アイロンを使う場合は、必ず洗濯表示や取扱説明書を確認してください。
- 洗濯表示に、アイロンをかけてよいかどうかの記号があるか
- 羽毛や羊毛など、熱に弱そうな素材ではないか
- 蒸気を出すスチームアイロンの場合、当てたあとに湿気が残らないか
- 小さなお子さんやペットが、熱いアイロンに触れない場所で使えるか
とくに蒸気には注意してください。あとで出てくる東京都の資料では、ダニが育ちやすいのは湿度75%前後とされています。ダニ対策のつもりで湿気を増やしてしまっては、本末転倒です。
スチームアイロンなら大丈夫?
スチームアイロンについても、ダニ対策としての効果を確かめられる公的な資料は、この記事では見つけられませんでした。蒸気で布団が湿ると、ダニが育ちやすい湿度に近づくおそれもあるので、使うなら乾かすところまで考えてください。
結局どうすればいい?公的機関が勧める寝具の手入れ
「アイロンは分からない。じゃあ何をすればいいの?」というのが、いちばん知りたいところですよね。公的機関の資料にあることを、やりやすい順に並べ直すと、次のようになります。
東京都とERCAの資料から、寝具のダニ対策として紹介されていることをまとめます。
- 日光干しは湿度の少ない時間帯に、裏表まんべんなく行う(ERCA)
- 干したあとはたたかずに、掃除機をかける(東京都)
- 掃除機は、1平方メートルあたり20秒以上かけて、布団の表と裏に(東京都は週1回が目安、ERCAは20〜30秒)
- 布団類には必ずカバーを付け、週に1回は洗濯する(ERCA)
- 高密度繊維の防ダニカバー・防ダニシーツの使用(ERCA・東京都)
- 毛布やタオルケットは、年に2〜3回以上丸洗いする(東京都)
- 布団を干せない家庭では、布団の丸洗いが効果的。専門の業者に頼んで1年に2回ぐらい(東京都)
- 梅雨など干せない時期は、布団乾燥機を使うとよい(東京都)。布団乾燥機の使用も効果的(ERCA)
- 季節の変わり目や帰省から戻ったときは、事前に洗濯するか、乾燥させて掃除機をかけてから使う(ERCA)
まずは洗えるものを洗う
布団類にはカバーを付けて、週に1回は洗濯する(ERCA)。毛布やタオルケットは、年に2〜3回以上丸洗いする(東京都)。いちばん手が届きやすいのは、洗える物を洗うことかなと思います。
洗濯でどこまでできるのかが気になる方は、ダニは水につければ死ぬ?洗濯でできること・できないことも読んでみてください。
干したあとは、たたまずに掃除機
布団を干したあとは、たたまずに掃除機をかけます(東京都)。掃除機は、1平方メートルあたり20秒以上かけて、布団の表と裏に。東京都は週1回が目安、ERCAは20〜30秒としています。
干して終わり、ではなくて、掃除機までがセット。ここが抜けやすいので、スマホのメモやカレンダーに「布団に掃除機」と入れておくと忘れにくいですよ。
干せない日は布団乾燥機
梅雨など、布団を干せない時期は、布団乾燥機を使うとよい(東京都)。ERCAも、布団乾燥機の使用は効果的だとしています。使ったあとに掃除機をかけるところまで、同じ流れで行うのがおすすめです。
東京都もERCAも、死骸やフンといったアレルゲンを取り除くことが大切だと説明しています。熱や乾燥をかけたあとでも、掃除機や洗濯の手間は省けないと考えたほうが安心です。
布団の材質と防ダニカバー・防ダニシーツ
布団の材質については、羽毛や羊毛よりも、掃除機がけや洗濯ができる化繊や綿がよい、とERCAは説明しています。買い替えのタイミングなら、材質を選ぶときの目安のひとつになりそうです。
資料には、高密度繊維の防ダニカバー・防ダニシーツの使用も挙げられています(ERCA・東京都)。ただ、カバーやシーツを付ければ手入れが要らなくなる、という意味ではありません。選び方を知りたい方は、ニトリの防ダニシーツは効果ある?選び方と東京都が勧めるダニ対策も参考にしてください。
寝具以外で見直せること
ERCAのぜん息の悪化因子への対策ページには、寝具以外にも、次のようなポイントが挙げられています。
- カーペットは取り除く。畳の上にカーペットを敷くのは厳禁
- 加湿器は使わない。洗濯物の部屋干しはやめる
- 押入れは定期的に空気を入れ替え、スノコを敷く
- 布製のソファは、革製やビニール製に替える
- ぬいぐるみは、よく洗濯する。できれば置かない
- 布団の上げ下ろしのあとの2時間は、部屋を十分に換気する
カーペットを全部はがす、ソファを替える、というのは、なかなか大変ですよね。どれも、アイロンや特別な道具がなくても、今日から始められることです。まずは、寝具の洗濯、干したあとの掃除機がけ、部屋の換気から取り入れてみてください。
家の事情で全部はできなくても大丈夫。ひとつ増やすだけでも、何もしないよりは違ってくるかなと思います。
ダニの正体と、掃除機・湿度が大切な理由
ここまでの手入れは、ダニの性質を知っておくと続けやすくなります。なぜ掃除機が大切なのか、家のダニはどんな虫なのか、湿度はどれくらいを目安にすればいいのか。公的な資料で分かっていることを、順番にまとめます。
ダニの死骸やフンも問題になる
東京都の資料によると、ダニは梅雨から夏にかけて繁殖し、秋に入ると、死骸や抜け殻、フンが室内に多くたまります。これらがアレルゲンとなって、アレルギー症状が悪化しやすい人がいるそうです。
また、ダニのフンなどのアレルゲンは水で洗い流せる、とも説明されています。つまり、ダニを減らすだけでなく、死骸やフンといったアレルゲンを取り除くことが大切です。熱で対処するにしても、そのあとに掃除機をかけたり、洗ったりする手間は必要だと考えられます。
寝具の手入れがとくに大切な理由
東京都が2016年に一般家庭10軒で調べたところ、ダニのフン由来アレルゲンは、フローリングの床よりカーペットや畳が高く、寝具で最も高い値を示したそうです。寝具の手入れが、とくに大切な理由です。
家のダニはどんな虫?
東京都の資料(くらしの健康 第47号)によると、一般の家庭で多いのは、チリダニ科のコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニです。体長は0.3〜0.6mm程度、成虫の寿命は2か月程度とされています。
エサになるのは、室内のチリやホコリ、人のフケやアカ、食べ物のカス、カビなどです。ダニが繁殖しやすい場所として、寝具、カーペット、畳、カーテン、押し入れ、ぬいぐるみなどが挙げられています。
世界保健機関(WHO)は、室内のホコリ1gあたり、ダニのフン由来アレルゲンが2μg以上(ダニ約100匹に相当)でダニアレルギーを発症する危険性があり、10μg以上(約500匹に相当)でぜん息発作を誘発する危険性があるとしています。ダニは室内に必ず住みついているため、ゼロにすることより、増えにくい環境をつくり、たまったアレルゲンを減らすことが大切です。
「1匹見つけたら100匹いる」という話が気になる方は、ダニが1匹いたら100匹いる?公的資料でわかる本当のところで詳しく書いています。
湿度の管理も忘れずに
東京都の資料では、ダニの育ちやすい環境は、温度25℃前後・湿度75%前後とされています。室内の湿度は60%以下を目安にし、梅雨は除湿機を使う、冬でも加湿しすぎない、といった管理が紹介されています。
寝具だけでなく、部屋の湿気や、ホコリをためないことも、ダニ対策の大切な一部です。湿度計がひとつあると、いまの部屋の状態が数字で分かるので、対策の効き目も見えやすくなります。
ダニをゼロにすることはできる?
ダニは室内に必ず住みついているため、ゼロにするのは現実的ではありません。増えにくい環境をつくり、たまったアレルゲンを減らす。この考え方で続けるのが、いちばん無理がないかなと思います。
布団乾燥機とダニ取りシートを使うときの注意
梅雨など、布団を干しにくい時期は、東京都の資料でも布団乾燥機の使用がすすめられています。ERCAも、布団乾燥機の使用は効果的だと説明しています。使ったあとは、掃除機をかけるところまで行うのがおすすめです。
とはいえ、道具に頼る前に、まずは干す・洗う・掃除機といった基本の手入れが先です。そのうえで、必要だと感じたときの選び方を書いておきます。
向いている人・向いていない人
布団乾燥機が向いているのは、梅雨や冬など、布団を外に干しにくい時期が長い人です。部屋干しが中心の家庭でも、選択肢になります。
逆に、天気のいい日に布団を干せて、掃除機もこまめにかけられているなら、あわてて買う必要はないかもしれません。置き場所や、毎回セットする手間もあるので、続けられそうかを考えてから決めてください。
買う前に商品ページで見ておきたいこと
参考として、楽天市場で取り扱いのある布団乾燥機の例を載せておきます。購入前に、サイズや使い方、価格を商品ページで確認してください。
【広告】楽天市場の商品ページへ移動します。内容や価格は変わることがあるため、購入前に商品ページで確認してください。
布団のサイズに合うか、使うときの音や、かかる時間はどれくらいか。このあたりは、商品ページの説明と、実際に使った人のレビューを見て決めると失敗しにくいです。
ダニ取りシートについて
ダニ取りシートについては、効果を確かめられる公的な資料を、この記事では見つけられていません。使う場合は、効果を期待しすぎず、干す・洗う・掃除機といった基本の手入れとあわせて、製品の説明書きや使用上の注意を確認してください。
基本の手入れをしたうえで、もうひと工夫ほしい人には、試してみる価値はあるかもしれません。反対に、「これを置いたから、もう掃除機はいらない」と考えてしまうのは避けたいところです。シートだけで足りるかどうかは、公的な資料では確かめられていないからです。
参考として、楽天市場で取り扱いのある商品の例です(広告)。
アイロンでのダニ駆除のまとめ
- アイロンでダニを駆除できると確認できる公的な資料は見つけられなかった
- 公的機関が勧めているのは、干す・洗う・掃除機をかける・カバーを付ける・布団乾燥機などの基本の手入れ
- ダニの死骸やフンも問題になるため、掃除機がけや洗濯が大切
- 布団やカーペットにアイロンを当てると、生地の傷みややけどのおそれがある
原因がダニかどうかは、この記事では判断できません。かゆみやくしゃみ、皮膚の症状が続くときは、自己判断せず医療機関に相談してください。
次にやることは、シンプルです。今週のどこかで、シーツやカバーを洗う。布団を干したら、たたまずに掃除機をかける。この2つから始めてみてください。
最新の情報や、お使いの寝具・家電の使い方は、公式サイトや取扱説明書でも確認してくださいね。かゆみやくしゃみ、皮膚の症状が続くときは、自己判断せず医療機関に相談してください。
