家の中でハエトリグモを見かけて、「ダニを食べてくれるなら、そのままにしておきたい」と思ったことはありませんか。この記事では、ハエトリグモの特徴と食べるものについて、確認できた資料をもとにまとめます。
先にお伝えすると、ハエトリグモがダニを食べると確認できる資料は、この記事を書く時点で見つけられませんでした。ですので、「ハエトリグモがいるからダニ対策は大丈夫」とは言えません。ダニを減らしたいときは、公的機関が勧める対策を中心に考えるのがおすすめです。
ハエトリグモをどう扱えばいいのか、ダニ対策では何を続ければいいのか。読み終えるころには、その答えが決まっているはずですよ。
ハエトリグモは何を食べるクモ?
ハエトリグモはどんなクモ?
東京都立科学技術高校の生物教員がまとめた資料(いきもの記 Vol.50「学校周辺のハエトリグモ」)によると、ハエトリグモは4対8個の眼を持ち、中央の2個がとくに大きいのが特徴です。眼がよいため、待ち伏せ用の巣は作らず、動き回って獲物を捕らえるとされています。
家の中でも見かけることがあり、ぴょこぴょこ跳ねる姿から、英語ではJumping Spider(ジャンピング・スパイダー)と呼ばれます。日本では約100種、世界では6,000種ほどが見つかっていて、クモの仲間では最大のグループだと紹介されています。
熊本県の小学生が自由研究としてまとめた資料(捕食と防御にすぐれたハエトリグモのひみつ)には、ハエトリグモは眼のうち正中眼がとても大きくてピントがよく合うため、クモの巣を張らず、歩き回ってえさを探すと書かれています。ジャンプは、体長の6〜20倍の距離まで飛べるそうです。
資料で確認できた獲物
先ほどの資料で確認できた、ハエトリグモが捕らえる様子は次のとおりです。
- ハエ:小学生の研究では、ハエを獲物にして、ハエトリグモが見つけてから捕らえるまでの時間を測る実験が行われています
- アリ:資料の写真に、第一肢(いちばん前の脚)を上げて近づき、アリを捕らえる様子が紹介されています
- グンバイムシ:資料の写真に、ネコハエトリのメスがグンバイムシを捕らえた様子が載っています
なお、個体によっては、置かれたハエを食べる気を見せなかったという記録もあり、ハエトリグモなら何でも食べるわけではないようです。
こうして見ると、ハエトリグモが捕らえるのは、ハエやアリなど、目で見て追いかけられる動く虫が中心だと読み取れます。一方で、ダニを食べているという記述は、確認した資料にはありませんでした。
なぜ「ダニを食べる」と言われるの?
「ダニを食べるクモ」と言われる理由は、この記事では確認できていません。ただ、家の中で見かける小さな虫を食べてくれる益虫、というイメージから、広まった可能性が考えられます。
参考までに、家庭で多いチリダニ(コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ)は、東京都の資料(くらしの健康 第47号)によると、体長が0.3〜0.6mm程度と、とても小さな虫です。ホコリや寝具の中にいるため、そもそも家の中を歩き回るクモが出会う機会も、多くはないのではないかと考えられます(これは推測で、確認できた事実ではありません)。
ハエトリグモは見つけても、そのままでいい?
ハエトリグモは、ハエなどを捕らえる姿が見られる身近なクモです。ただ、人への影響(咬まれたときの症状など)については、この記事では確認できていません。心配なときは素手で触らず、紙などに乗せて外に逃がしてあげてください。
「ダニ対策のために飼う」「たくさん増やす」といったことは、効果が確認できていないため、おすすめしません。
こんな期待のしかたは、向いていません
「クモがいるから、寝具の手入れは減らしてもよさそう」と考えると、ダニ対策の手が止まってしまうかもしれません。ハエトリグモが歩き回るのは、主に床や壁、家具のまわりです。一方、東京都の調査で、ダニのフン由来アレルゲンがいちばん高かったのは寝具でした。
ハエトリグモを見かけたことと、寝具や床のダニが減ることは、別の話として考えるのが安全です。
ダニを減らしたいなら、公的機関が勧める対策を
東京都が紹介している基本の対策
東京都のアレルギー情報サイト(室内環境対策)や、上の「くらしの健康」には、次のような対策が紹介されています。
- 晴れた日に布団をよく干し、干したあとは表面に掃除機をかける
- シーツや布団カバー、枕カバーをこまめに取り替えて洗う(ダニのフンなどのアレルゲンは水で洗い流せる)
- 床の掃除機は、少なくとも3日に1回、1平方メートルあたり20秒以上かけてゆっくり動かす
- 布団を敷くのは、就寝の30分以上前に窓を大きく開けて行う
- 湿度は60%以下を目安にする。梅雨は除湿機を使い、冬でも加湿しすぎない
同じ資料では、ダニは梅雨から夏にかけて増え、秋に入ると死骸やフンが室内にたまりやすいため、秋にアレルギー症状が悪化する人がいると説明されています。ダニがいること自体は珍しいことではなく、日頃から増えにくい環境をつくり、たまったアレルゲンを減らすことが大切です。
家のダニはどこにいて、何を食べて増える?
東京都の資料(くらしの健康 第47号)では、ダニが繁殖しやすい場所として、寝具、カーペット、畳、カーテン、押し入れ、ぬいぐるみなどが挙げられています。
ダニが育ちやすい環境は、温度25℃前後・湿度75%前後とされ、エサになるのは、室内のチリやホコリ、人のフケやアカ、食べ物のカス、カビなどです。成虫の寿命は2か月ほどと説明されています。
つまり、ダニを増やさないためには、ホコリをためないことと、湿気をためないことが基本になります。
ダニのアレルゲンには目安がある
同じ資料によると、世界保健機関(WHO)は、室内のホコリ1gあたりのダニのフン由来アレルゲン(Der1)が2μg以上(ダニ約100匹に相当)でダニアレルギーを発症する危険性があり、10μg以上(約500匹に相当)でぜん息発作を誘発する危険性があるとしています。
東京都が2016年10月に一般家庭10軒で調べたところ、9軒でホコリ1gあたり2μg以上、6軒では10μg以上が検出されました。しかも、フローリングの床よりカーペットや畳のほうが高く、寝具で最も高い値だったそうです。
「ダニは必ず室内に住みついている」と資料にもあるとおり、ゼロにすることは難しいようです。だからこそ、天敵に任せるのではなく、自分でできる掃除・洗濯・換気を続けることが大切だと考えられます。
布団を干したあと、やりたいこと
東京都の資料では、布団を干したあとは、たたかずに必ず掃除機をかけるよう勧められています。1週間に1回、1平方メートルあたり20秒以上かけて、布団の表と裏を丁寧に吸うのが目安です。
- 毛布やタオルケットは、年に2〜3回以上丸洗いする
- 布団を干せない家庭では、布団の丸洗いが効果的。専門の業者に頼んで1年に2回ぐらいが目安
- 梅雨など干せない時期は、布団乾燥機を使うとよい
クモに任せるより、こうした毎日の習慣のほうが、資料で勧められている確かな方法です。
ハエトリグモを見かけたときの考え方
ここまでの内容をふまえると、ハエトリグモを見かけたときは「無理に追い払わない。でも、ダニ対策を任せない」という距離感がちょうどよさそうです。そのうえで、よくある疑問を3つ、資料で確認できた範囲で答えます。
よくある疑問
Q. ハエトリグモがいる家は、ダニが少ない?
この記事では、ハエトリグモがいることとダニの数の関係を示す資料は確認できていません。ダニが多いか少ないかは、寝具や床のアレルゲンの量、湿度、掃除の頻度などで考えるのが現実的です。
Q. 見つけたら、外に出したほうがいい?
人への影響は確認できていないため、無理に触ろうとせず、紙などに乗せて外へ逃がす方法をおすすめしました。小さなお子さんやペットがいる家庭では、とくに素手で触らないほうが安心です。
Q. 家の中でハエやアリが気になるときは?
ハエトリグモが捕らえる様子が確認できたのは、ハエやアリなどです。ただ、虫を減らすためにクモを頼るのではなく、食べ物のカスを放置しない、ゴミを密閉するなど、虫が集まりにくい家にするほうが、先にできることだと思います。
Q. 子どもと一緒に観察してみたい。
上で紹介した熊本県の資料は、小学生が自由研究としてハエトリグモの捕食や防御を調べたものです。ジャンプの距離や、獲物を見つけてから捕らえるまでの時間など、観察のヒントが載っています。観察するときは、手で捕まえず、離れて見るようにしてください。
Q. 見かけるのは、いつ頃が多い?
季節ごとの出現時期は、この記事では確認できていません。ダニのほうは、東京都の資料で梅雨から夏に増え、秋に死骸やフンがたまると説明されているので、季節の変わり目に寝具の手入れを見直すのがおすすめです。
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くしゃみ・鼻水・咳・皮膚のかゆみが続くときは、原因がダニかどうかを自分だけで決めず、小児科・皮膚科・アレルギー科などの医療機関に相談してください。
ハエトリグモとダニのまとめ
- ハエトリグモは巣を張らず、眼のよさを使って動き回って獲物を捕らえるクモ
- 資料で確認できた獲物は、ハエ・アリ・グンバイムシなど。ダニを食べるという記述は確認できなかった
- ダニを減らしたいときは、湿度管理・洗濯・掃除機など、東京都が勧める対策が中心
- 症状が続くときは医療機関に相談する
今日できる一歩は、シーツと枕カバーを洗うことと、寝る前に窓を開けて換気することです。そこから、掃除機がけや湿度の見直しへ広げてみてください。
